聞こえる私と聞こえない友人が、新幹線に乗った時のこと。
お盆の帰省ラッシュと重なり、車内は大混雑。
私達は幸い、通路を挟んで隣り合った席を確保することができましたが、通路には人があふれていました。
私達が通路越しに手話で会話をしていると、間に立っていた男性がやたらと体を動かし始めました。
手話がさえぎられて話しづらいな、と思っていると、彼は奥さんらしき女性にこう言ったのです。
「座っている人には意地悪をしてやるんだ」と。
そう、彼は私達が二人とも聞こえないと思ったのでしょう。
でも幸か不幸か、私の耳は心ない言葉も全部聞こえるのです。
悔しいので「聞こえてますよ」と言おうかと思いましたが、言えずじまいでした。
この時に限らず、電車や喫茶店などで私が手話を使っている際に、近くにいる見知らぬ人が自分達のことを話しているのを耳にした経験は、今まで何度かあります。
たとえ話の内容が悪口でなくとも、こういうことは不愉快です。
手話で話していても私のように聞こえる人はいますし、聞こえなくても唇が読み取れる人もいます。
ですから、手話を使っている人には何を言ってもわからないだろうと思うのは大間違いです。
それ以前の基本的な気配りとしては、相手が聞こえるかどうかにかかわらず、知らない人のことをむやみに話題にするのはやめるべきでしょう。

06.8.20　ＥＭ

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