こんな気配り あんな気配り

会議のきくばり

会議の主催者の心構えと事前に必要な配慮

1.会議に参加する人は、さまざまな特性を持っているので、多様な人々が一緒にひとつのことを議論できる環境を提供することを前提に会議の開催や計画を考える。
2.たとえば人種、民族、文化、宗教、性別、年齢、身体的特徴などの違いがあり、さらに同じ人種だとしても教育、経験、ライフスタイル、考え方、好みなど一人ひとりが異なっているということを当たり前なこととして受け止める(ダイバーシティ)ことを忘れないこと。
3.参加するすべての人が、会議に参加して十分なコミュニケーションが図れ、本人が発言ができ、意見が理解され、決定あるいは同意するための情報を受けとれるような配慮をする。
4.電話、FAX、パンフレット、インターネット、メール等様々な媒体を使って音声情報・テキスト情報により案内を行う。案内書には、必ず、障がい者・高齢者等のさまざまな特性を持つ人の参加を期待している旨を、さらにコミュニケーション等の配慮が可能なことを記載する。
5.会議に参加するに当っての要求事項を受付ける方法・担当者を記載する。
6.コミュニケーションに困難が伴う人が参加する場合、可能であれば、参加者全員に事前にその旨を伝え、会議の発言の仕方や資料づくりに配慮するように伝える。また、その配慮の方法を具体的に示す。
7.事前に会議の目的を広報するときに、さまざまな特性を持つ人が情報を受け取れるような情報提供を考える。

会議開催情報提供の具体性とは、たとえば、
1) 紙媒体の場合――日本語、英語、中国語、韓国語、その他必要に照らした言語で提供する。(事前に参加する人が決定している会議の場合は、参加する人が理解できる言語や点字情報など)
2) HP・メール等IT系の場合――上記のような必要に合わせた言語情報の他、通常の文字や画像情報が受け取れない人(たとえば弱視や盲の人など)が読める音声読み上げソフトに対応したテキストスタイルの情報提供を行う
3) 会場での説明の場合――
ア.情報提供の多様性の範囲を事前に公開する。
イ. そこに参加する人の特性を事前に入手している場合は、その特性に合わせた情報提供を配慮する。
・ 外国人が参加する場合、その人が日本語を理解しするか確認し、理解できない場合は当人と相談して理解できる方法(通訳を付ける等)を選定する。
・ 配布した資料や説明時の画像が見えない人(視覚障がい者)には、音声読み上げソフト対応のIT情報の提供を準備すると同時に、説明者は画像やスクリーンに投射する文字情報を説明する場合に、「ここのところは」とか「図にあるように」などという説明方法をしないように注意する。画像データの説明は、その図が何の図で、その中のどこのことを言っているのか、言葉で分かるように話す習慣を身につける。(悪い例:この図のここのところが最も高くなっていて、、、良い例:5ページのこの人口統計図は、この55歳から52歳までの曲線が最も高く、、、など。)
・ 話している人の声が聞き取れない人(聴覚障がい者)には、まずは本人にどのような対応を希望するかを聞く。その希望の情報提供が不可能な場合は、できうる方法を提示して相談する。
  情報提供の方法としては、事前資料の点字化、手話での進行、手話通訳、要約筆記、音声読み取りソフトなどと組み合わせた文字情報の同時表示、要約筆談者や書記の隣で書記の書く画面を見ながらの参加、などが考えられる。

8.障がいを持つ人の特性を理解しておく
1) 障がいを持つ人たちは、みんな同じコミュニケーションのとりかたをするわけではないことを認識しておく。
2) 身体障がい者の場合
車いす使用者――まず会場までのアクセスを確認して、駅からの道に段差や階段がある場合、スロープやエスカレータ、エレベータが設置されているかを確認しておく。また、車での来場を想定して、車いすで駐車できる駐車場が会場にあるか、ない場合は止められる場所(コイン駐車場などは、車を止めて降りるスペースや降りてから移動する時の段差の有無の確認をする)の確保が可能か確認して、その上で、どのような方法で来場するかを本人から聞く。一人で移動が困難または不可能な場所がある場合は、サポート体制を考え、本人にその旨を連絡しておく。
同時に、会場のトイレの状態を確認する。ユニバーサルトイレが会場の同じ階にあるか、いくつあるか、会場の建物全体でいくつあるかを確認する。参加者に車いす使用者が複数人いるときは、休憩時間を長くする必要があることを念頭に入れて会議の時間配分に留意する。なぜなら1回のトイレ使用時間が通常10分くらいかかる人が多い。そのため、複数人参加者がいる場合は、別の階のトイレを案内したりする必要性がある。
会場のレイアウトを車いすで移動できるよう考慮して設定する。テーブル(机)の高さや脚を入れるスペースに障害物がないテーブル(机)かを確認しておく。
視覚障がい者――視覚障がい者といっても、その障がいの程度やコミュニケーションの方法は一人ひとり異なるということをまず認識しておく。そのため、事前にどのような情報のとりかたをするのか、何が望ましい方法なのかを本人に聞くことが前提である。
視覚障がい者には、全盲(光も感じない、光は感じる、光をまぶしく辛く感じる人など)や弱視(ぼんやり人や物の存在が分かる、はっきりはしないが物や人がいるのは分かるが誰かは分からないしルーペを使えば2〜3字ずつ文字を読むことができる、何とか人やものの輪郭はわかり大きな文字なら読むことができるなど)の人がいて、その程度は人によりさまざまである。眼から情報を受け取ることに困難を伴うので、音声情報に配慮する必要がある。また、点字を読める人には、できれば点字での情報を提供する。ただ、点字を読める視覚障がい者は3%(10%?あとで確認)くらいなので、本人の利用しやすい情報取得方法を確認することが重要である。また、声を掛けたり会議で発言するときは、自分の名前を名乗ってから発言しないと、だれが話しているのか区別がつかず、的確な情報が得られなくなる。
会議場の案内をする場合は、どのような方法で来場するかを本人に聞き、視覚ではなく聴覚や嗅覚で確認できるポイントを情報提供すると良い。たとえば、「改札を出て右に緩やかな登り坂を5メートル行くと音(具体的に)の出る信号があり、その信号をわたってそのまままっすぐ100メートルほど進むと左側にパチンコ店があるのでその角を右に曲がり10メートくらい進むとラーメンやがあり、その隣のビルです。駅からゆっくり歩いて5分くらいです」など。
聴覚障がい者――聴覚障がい者も同様に、その障がいの程度やコミュニケーションの方法は一人ひとり異なるということをまず認識しておく。そのため、事前にどのような情報のとりかたをするのか、何が望ましい方法なのかを本人に聞くことが前提である。
聴覚障がい者には、ろう(まったく言葉は聞こえない人、補聴器をすれば音を感じることができるなど)や難聴(音はするが言葉としては分からない、補聴器をすれば人の話が聴こえる、補聴器を付けなくとも少しは人の声やものの音がわかり補聴器を付ければ人の話が分かるなど)の人がいて、その程度は人によりさまざまである。手話ができる人であれば手話通訳士(15分ごとに交代できるよう人数を考慮)を依頼するとか、要約筆記(4人一組が多い)とモニターを用意するなど方法を検討する。手話通訳を依頼した場合は、視覚障がい者の席を通訳士の前に設置し、通訳士の後ろが窓の場合はカーテンを閉めるなどして、本人の見やすさや目の疲れに配慮する。また、話をしている口の形を見て何を話しているか理解できる人もいるので、マイクを使う場合はピンマイクを使用し、発言する人の口元を見やすいように配慮する。発言をする人も、発言時には手を挙げて自分の名前を名乗ってから発言すると、いまだれが話しているかわかる。聞こえない人は、いまだれが発言しているか分からず、勝手に話し始めると、たとえ手話通訳がいたとしても一度に何人もの通訳はできず、内容が理解できなくなり円滑に情報が受け取れなくなる。

内山

 

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