嬉しい気配り 困った気配り

分けるが正しい?

「見えない人と聞こえない人は一緒にしないか、または専門の通訳者を用意したほうがいい」
あるイベントで、2泊3日のグループ活動をしていたときに言われた言葉だ。
私のグループには見えない人と、聞こえない人がいた。

グループでは、私が少し手話ができる程度で、他の皆は聞こえない人や見えない人と出会うの自体がほぼはじめてという状況だった。
そんななかで、はじめからうまくコミュニケーションがとれるわけがない。
「これが、あそこに」などと指示語を使いまくるメンバー、見えない人にはわからない。
思うままにあちこちから発言すると、聞こえない人にはわからない。
見えない人と、聞こえない人が一緒……という以前に、班の皆が噛み合わないコミュニケーションでスタートした。

こんな状況を周りから見て、冒頭の言葉がかけられたのだろう。

けれど、コミュニケーションは相手を知れば知るほど成長していくもので、だんだんと良くなっていくもの。はじめから「これはダメ!」と言えるものでもない。
だれでもはじめからうまくできないというのに、障がいはあまり関係ない気がする。

そうこうしているうちに、しだいにグループのメンバーが変わってきた。
ゆっくり話し、ゆっくり歩くようになった。
聞こえないメンバーがノートに書いた内容を、他のメンバーが読み上げて見えないメンバーに伝え、見えないメンバーがそれに対して答えたことを、メモして聞こえないメンバーに伝えるようになった。
伝わらない状態の体験から、コミュニケーションに工夫が生まれ、みんなが積極的に気持ちを伝えたいという状況になってきていた。
きっと、はじめから人を障がいで分けてしまったら、何もはじまらなかったことだ。

手話ができるとか、サポートの専門知識をもつことはもちろん大切だ。
でも、その人たちが全部やらなければコミュニケーションが成り立たないなんて、寂しい。
障がいを持つ人がいたら、守りたい、彼等の権利を主張したい、と思う人は多いが、まず、本人が何を望んでいるのかを聞くのが大切だと思う。
あらゆることを、周りの人でなく、本人が決定するのがとても自然だ。

そして、障がいを持っていなくたって、守られたい場面はたくさんあるように、本当に人それぞれだということを、自分自身いつも実感していたい。

06.9.27 レナ

 

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