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視覚障がい者と聴覚障がい者の通訳経験

ある会議に聴覚障がいの友人の手話通訳に行った時の事です。
友人はメールでやりとりとしていた○▲氏を探し、話をしようと近づくと_ビックリ!
○▲氏は、なんと視覚障がいでした。
突然の状況に友人と戸惑いながらも通訳を開始
ところが、うまく通訳ができません!
こちらが通訳をしている最中に、○▲氏がどんどん喋り出してしまうのです。
焦った私___。
そこで初めて気づきました!
手話通訳をしていると、つい通訳者は声を出さずに通訳をしています。
なぜなら、そのほうが頭の中で文章の要約や整理ができて、手話の単語数の少なさを補う事ができるからです。
日本語の単語数に較べて、手話の単語数はまだまだ足りません。
しかし!
○▲氏には声が聞こえないと、どこまで通訳されているのか様子がわかりません。
そこでどんどん話しを続けてしまうのです。
その事に突如!気づき、声を出すようにしました。
けれど、一言一句すべてを復唱するのは相手の会話の妨げになるんじゃないか____?
と、言葉の結びの部分だけ声に出して通訳してみました。
この工夫は上手くいったかしら?と不安になりながらも、最初よりは二人のコミュニケーションがスムーズになったような気がしました。
当時、そんな状況で通訳をした経験も少なく、、
『通訳は黒子のような存在』と言う勘違いから、その場では意見を言えませんでした。
のちに、手話の師匠に『黒子_そう思いますか?』と宿題を出された経験があります。
通訳後に、○▲氏に今の通訳についての意見を求めると
「はい、最初は沈黙が長くて不安になりましたが、私達は音でコミュニケーションをするので、途中から通訳のタイミングがわかって良かったです。」
と、言われました。
その時は、中途失聴の友人でしたので彼女の声は彼にスムーズに伝わりましたが、声を出さない(または明瞭ではない)聴覚障がい者の場合は手話をつけて、今ここまで通訳してるよ〜という視覚での通訳進み具合いも必要かしら?とも考えています。
ただ_問題はそれをすべて一人でこなすのは少し大変なんじゃあ。とも考えがよぎります。
最近は慣れたのか?慣れた人だったりすると逆にその場を少し仕切って
「はい、続きをどうぞ!」なんてやってますが勿論!「今の通訳方法はどうでしたか?何か工夫点はありますか?」と確認しています。
先日、失敗したなぁ〜と思ったのは_その時の通訳を受ける側(手話を見る人)の状況を口頭で説明できなかった事に後で気づいた事です。
例えば_途中、子供が話しかけていたり、料理が運ばれてきたり。
手話は目を離すと一瞬の単語を見落としたりします。
そこで見てなかった単語からまた通訳を始めたりするのですが
淡々と話す視覚障がいの相手に
「今、料理を取り分けてますから少しお待ち下さい」などの説明をすべきだったぁ! と反省しました。
またまた勉強になりました。(笑)
そんな経験から最近は、通訳は主役では無いけれど、『黒子』でも無いと思っています。
通訳にも人間としての個性がありますし、臨機応変にコミュニケーションを深める大切な役割だと思っています。
何よりも人と人との架け橋であり、その相手がどうすれば解りやすいか、提案したり、意見を聞いたりして工夫を凝らしてゆく事が大切だと思っています。
その前に技術が必須なんですけどね_とほほ(;´д`)

060826 りりぞー

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